6月下旬に川崎市のH.N.様から「時のゆりかご」の注文をいただいたが、注文確認メールのあとに再度メールをいただき、『余計な話ですが4月に妻が癌で他界しました。子供もいませんし、世界で一番仲のいい夫婦と自認していました。妻とハワイ旅行に行った時にロレックスの時計をペアで買いました。とても大事にしている時計でした。私は殆ど毎日付けていますが、主人のいなくなったロレックスは、そのままにしておくとダメになりそうなので何とかしたいと思っていたところに弊社を発見した次第です。昔、安いマシーンを買ったらすぐに故障してしまいました。』と書かれていた。
注文が立て込んでいるため5日ほどの時間をいただいたのだが、妙にメールの内容が心に残り、工房で作業中も気になっていた。 何か特別なことをしたいという気持ちに駆られ、3つのポケットの真ん中を奥様の時計用として、勝手に緋毛氈を貼り込んで送らせていただいた。
7月3日に突然DVDと手紙がN様から送られてきた。 奥様は肺癌であったこと、●●ガンセンターからは余命数ヶ月として見放されたこと、神奈川県立がんセンターでは名医とめぐり合え3年間も頑張り社会復帰も出来たことなどが書かれていた。
DVDのタイトルは「命のリレー(RELAY FOR LIFE JAPAN 2006 in TUKUBA)」とあったが、実はこのNHKの番組は昨年見ていた記憶があり、何度か目が潤んだことを覚えていた。
命のリレーにはNさんが出ているだろう、そして奥様も出ているだろう、と思うと、襟を正して見なければならないと意味のない言い訳して、中々見るまでの決心が付かなかった。 このままでは8月になってしまうと、焦りの気持ちも芽生えはじめて、30日にようやくそのDVDを見た。 優しそうなNさん、幸せそうで元気な奥様を見て感動し、久々にグショグショに泣いた。 Nさんが奥様の野菜ジュースを作りながら笑顔で言った。 「このジュースには特別なものを入れるんです。愛情です。癌は愛情に弱いんだそうです。」
こんなご夫婦の大切な自動巻腕時計をセットしてもらい、職人冥利に尽きる。 奥様の腕時計は、ずっとずーっと動き続けてもらいたい。 私も家内を大事にしたいとあらためて心に誓った。 合掌
善(’07.7.31)
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