２０１２年１０月７日に、サイトの「本日の情報」欄に来年１０月で「時のゆりかご」の制作・販売を終了するというメッセージを出させていただいた。
その後数多くの問い合わせをいただき、個々には返事をお送りしているが、おそらくどなたもが聞きたい内容だと思うので、まとめて掲載させていただくことにする。
まず多いのは、いつまで修理対応は出来るのかという質問。
小生の健康如何というところもあるのだが、１０年イヤ１５年以上は問題なくお受けできると思う。
本日も２００４年１月の制作で９９台目の駆動モーター交換をしたが、この個体より古いものを既に５台モーター交換している。
先週スポンジセットを購入された北海道のお客様も制作は同じ時期で、「スポンジはかなりへたっているので送ってほしい。時のゆりかごは問題なく動いているので、故障したらよろしく。」とのことであった。
こんな出来事が毎日のようにあれば大変ありがたく、職人冥利に尽きて、１０年や１５年は修理やサポートを張りきって行うことができる。
次に多い質問として、代替わりに取り組む人（会社）はないのかという質問。
５年ほど前には数社からいろいろな形で、時のゆりかごを取り扱うことの打診があり、２社とはかなり具体的な打合せを行った。
しかし、当方よりも先方の都合や環境の変化で、話が中断するケースになったが、こちらはあくまでも自然体で静観することにしていた。
現在、桐無垢に関しては国内産の桐材を取り扱う業者が少なくなり、桐箱製作会社は入手難を伝えてきている。
中国産の桐材はホームセンターなどでも目にすることはあるが、冬目と言われる木目がほとんどなく、時間を置くとアクが出て紫色に変色する。
当社で発注している春日部市の松田桐箱の桐材は、１寸に木目が５目以上ある非常に良質な板で、時間が立つと飴色に変化して風合いも醸し出されてくる極上品であって、今後は確実に納期が延びるであろうし、金額も再度上がることが予想される。
シンクロナスモーター・タイマー・金属切削部品・プラスチック成型品・ベアリング・スポンジ・フエルトなど既に何回かの値上げを要求されているが、今後も更なる値上げはありそうで、腕時計好きで趣味の世界に触れている小生は価格を上げずに進めていくことに苦はないが、この製品を継承する人がいたとしたら決して楽しくはない仕事になるだろうと思う。
以前会社の社長からいただいた自動巻腕時計が切っ掛けでクオーツ派から転身し、自分の腕時計と同じように大事にされている方に、自然なパワーチャージとはこんなものだと確認してもらいたいと製作・販売を開始したものであった。
至福な１０年目を、皆様に感謝しながら、じっくりと味わいたいと思っている。
（善）’12.10.21
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